半月板損傷

半月板損傷とは、半月板という膝の組織が損傷している状態です。
損傷状態によって複数の種類にわけることができます。

●半月板とは

半月板は、大腿骨と頚骨の間にある組織です。
半月板は内側と外側が存在し、外側から内側に向かって薄くなる構造になっています。
半月板は膝にかかる負担を分散させながら衝撃を吸収する役割があります。

●半月板損傷の種類

・縦断裂

半月板の形状に沿って断裂している状態です。
進行するとバケツ柄状断裂になる場合があります。

・バケツ柄状断裂

半月板がバケツの持ち手のように避けている状態です。
縦断裂が悪化したもので、膝を伸ばして曲げられなくなる「ロッキング」などが起こります。

・横断裂

半月板が分断されるように断裂した状態です。
完全に断裂すると、膝が不安定になり歩行困難になる可能性があります。

・円盤状半月板断裂

本来は三日月の形をしている半月板が、丸く変形してしまう状態です。
生まれつき円盤状になっているケースもあります。

・フラップ状断裂

断裂した半月板の断片がぶらぶらしている状態です。
関節の中にはまり込むことで激しい痛みをともないます。

・水平断裂

半月板が水平方向に断裂した状態です。
経年によって生じることが多く、中高年に発症しやすいです。

半月板のおもな症状や原因は、次のとおりです。

●症状

・膝の痛み、腫れ

半月板が損傷すると、周辺の筋肉や靭帯が収縮してしまいます。
筋収縮は痛みや動かしにくさの要因となります。
また、関節液がたまってしまうと患部が腫れてしまうことがあります。

・ロッキング

半月板損傷が悪化すると、ロッキングが生じます。
ロッキングとは、膝を伸ばした状態から動かせなくなることです。

・変形性膝関節症との併発

半月板損傷を発症すると膝にかかる負担は大きくなり、変形性膝関節症を併発することがあります。

●原因

・スポーツによる負担

膝をひねるを繰り返すことで半月板に負担がかかり、損傷が生じます。
サッカーやバスケット、テニス、野球などのスポーツで発症しやすいです。

・交通事故による衝撃

交通事故で膝に大きな衝撃を受けてしまうと、半月板が損傷してしまうことがあります。
交通事故では外側よりも内側の半月板を損傷することが多いです。

・合併症

前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷など、他の病気やケガの合併症として生じることもあります。

半月板損傷と似た症状の現れるその他の病気やケガも存在します。
類似症状の現れる病気やケガには、次のようなものが挙げられます。

●膝靭帯損傷

スポーツや交通事故など膝に大きな衝撃が加わると、膝の靭帯が損傷することがあります。
半月板損傷を併発することがあります。

●変形性膝関節症

中高年の女性に発症することの多い膝の病気です。
膝の軟骨がすり減ることで関節同士が擦れるようになり、痛みが生じます。

●鵞足炎（がそくえん）

膝の内側にある鵞足に炎症が起こっている状態です。
足の内側に痛みが生じることが特徴です。

半月板損傷の痛みの緩和を目指す施術や早期回復、変形性膝関節症など他の病気との併発を予防するための施術を中心に行っていきます。
当院では半月板損傷に対して次のような施術を行います。

●手技療法

膝まわりの筋肉が緊張すると血流が悪くなり、痛みが悪化しやすくなります。
施術者の手で直接行うことにより、筋肉の緊張をほぐしていきます。

●鍼灸

鍼灸には炎症を抑制させる効果が期待できるため、半月板損傷による炎症が起こっている場合は炎症の抑制を行います。
また、お灸の温熱や鍼の刺激により筋肉の柔軟性を取り戻すことで、可動域の改善にもつながります。

●ハイボルト療法

深層部の筋肉や血行不良にアプローチしたい場合には、ハイボルト療法を用います。
電気刺激は手技では届きにくい深部まで施術を行うことが可能です。

●EMS

スポーツに早期回復したい場合や膝まわりの筋力が低下している場合には、EMSを使用します。
EMSは電気刺激で筋肉を収縮し、筋力を高めることができる機器です。
寝たままの状態で使用できるため、運動に自信がない方にもおすすめです。

●骨盤矯正

身体の使い方が誤っていると、膝にかかる負担が大きくなり、半月板損傷の回復が遅れてしまいます。
再発予防も含め、骨盤矯正で身体のゆがみを整えていき、正しい姿勢づくりをサポートします。

半月板損傷には、状態に応じた施術を行っていきます。
早期回復や悪化予防も含めた施術で長期的にサポートを行います。

●症状施術

膝の痛みに対して、手技療法や鍼灸、ハイボルト療法で対応します。
筋緊張で硬くなった筋肉は血流を阻害し、痛みを悪化させます。
手技療法や鍼灸、ハイボルトは血流を促進し、筋緊張をほぐすことで痛みの緩和を目指すことができる施術です。

●早期回復、再発予防のサポート

早期回復や再発予防のためには、正しい身体の使い方を身につけることが大切です。
誤った身体の使い方は膝に大きな負担をかける原因になってしまいます。
当院では骨盤矯正で身体のゆがみを整え、正しい姿勢や歩行ができるようサポートを行っています。
また、筋力が高まると膝にかかる負担を軽減できるため、EMSによる筋力アップやトレーニングのアドバイスも行っています。

半月板損傷になってしまった場合には、次の方法で対処します。

●冷やす

痛みが強い場合には、患部が炎症を起こしていると考えられます。
冷やすことで炎症が抑制され、痛みの緩和が期待できます。
保冷剤などをタオルで巻き、15分ほど冷やして様子をみましょう。

●リハビリをする

筋力が高まることで膝にかかる負担を軽減できるため、リハビリで筋力を高めることは大切です。
ただし、痛みが強い場合や炎症している場合は安静にしましょう。
リハビリでは、次のようなストレッチがおすすめです。

◆ストレッチ法

・仰向けに寝て片足の膝を曲げてお腹に引き寄せます
・手で膝を抱え、30秒ほど膝を引っ張ります
・反対側も同様に行います

●手術をする

半月板の損傷が激しい場合、手術を行うことがあります。
損傷した半月板を縫合する、半月板を部分的に手術をする手術などがあります。

半月板損傷が起こっているかセルフチェックする方法や、日常的に行える予防法をご紹介します。

●セルフチェック

半月板損傷が起こっているかどうか確認するには「マックマレーテスト」という方法を行います。
仰向けになり膝をできるだけ曲げ、膝をゆっくりと外旋・内旋させます。
このときに痛みがある場合、半月板を損傷している可能性があります。
膝から音が鳴る場合は半月板が断裂していることも考えられます。

●予防法

・ウォーミングアップをする

運動をする前には、必ずウォーミングアップを行いましょう。
ウォーミングアップは筋肉や関節の柔軟性を高め、ケガの予防につながります。
ウォーキングなどの軽い運動を20分ほど行い、運動前の身体を温めましょう。

・身体を休める

運動をしたあとは、身体を休めることも大切です。
睡眠中は身体の修復を行うため、睡眠が不足すると修復されないまま蓄積されてしまいます。
しっかりと身体を休め、睡眠を取るようにしましょう。

・正しいフォームを身につける

スポーツをしている場合、定期的なフォームの見直しを行いましょう。
誤ったフォームが膝に過剰な負担をかけてしまい、半月板損傷を引き起こす可能性があります。
鏡でフォームを見直す、チームメイトやコーチ、トレーナーに相談することをおすすめします。