すべり症

すべり症とは、背骨に生じる病気の1つです。
すべり症の状態についてご紹介します。

●すべり症とは

背骨は複数の椎骨という骨が重なり、構成されています。
椎骨が本来あるべき位置からズレてしまい、神経を圧迫している状態をすべり症と呼びます。
背骨の椎骨はゆるやかなS字を描くようにカーブしており、このカーブによって負荷を分散して上半身を支えています。

●すべり症の種類

すべり症には次の2種類が存在します。

・分離すべり症

分離すべり症は、椎骨を構成する椎体と椎弓という組織が分離してしまっている状態です。
腰に繰り返し衝撃が加わり、疲労骨折することがおもな原因になります。
サッカーや野球など腰をひねる動作の多いスポーツで生じることが多いです。

・変性すべり症

変性すべり症は、椎骨の間にある椎間板や靭帯が変性し、椎骨がズレてしまっている状態です。
加齢による骨の変形や女性ホルモンの影響などが原因で生じることが多いため、中高年の女性に発症することが多いといわれています。

すべり症は神経が圧迫され、症状が現れます。
症状のレベルや、発症する原因についてみていきましょう。

●症状

・軽度

安静にしているときには症状はあまり出ませんが、立ったり動いたりすると腰や下肢に痛みやしびれが現れます。
長時間歩くと痛みやしびれが生じ、休むと症状が緩和される間欠性跛行が生じるのが特徴です。

・重度

安静にしていも痛みやしびれが生じるようになり、排泄障害なども生じることがあります。

●原因

すべり症が生じる原因は、椎骨のズレによる神経の圧迫です。
椎骨にズレが生じるのは、加齢による骨の変性やホルモンバランスの変化などが要因として挙げられます。
また、スポーツや仕事で腰に負荷を与えることが多いと発症しやすくなります。

すべり症に似た症状が現れる病気として、次のようなものが挙げられます。
いずれも腰や下肢に痛み、しびれ症状が現れるものです。

●腰椎椎間板ヘルニア

椎骨と椎骨の間には椎間板というクッションの役割を果たすものがあります。
椎間板に亀裂が入ることで中にある髄核という組織が外へ飛び出し、神経を圧迫する病気が腰椎椎間板ヘルニアです。
腰の痛みや下肢のしびれをともない、腰に負荷のかかる動作は症状を悪化させます。

●腰部脊柱管狭窄症

背骨を通る神経の通り道である脊柱管が加齢などが原因で狭まってしまい、神経が圧迫される病気です。
神経が圧迫されるため、腰や下肢に痛みやしびれ症状が現れます。
とくに腰を反らす動作は脊柱管が狭まるため、症状が悪化しやすいです。

すべり症は放っておけば悪化してしまい、歩行など日常の動作に影響を与えるようになってしまいます。
すべり症の改善を目指すためには、次のようなアプローチが必要です。

●固定療法

すべり症の症状が強い場合、固定療法を用います。
腰は負担がかかりやすい部分なので、日常生活を過ごしているだけでも腰に負担をかけています。
そのため、固定療法で腰にかかる負担を軽減することで症状の緩和を目指します。
固定療法では、コルセットなどを使用します。

●鍼灸

鍼の施術は神経にアプローチして痛みをブロックする作用があります。
神経症状が強い場合、鍼施術を行うことで即効性が期待できます。

●超音波

炎症がある時期には超音波の非温熱作用で炎症を抑制し、痛みの緩和を目指します。
すべり症の痛みが緩和する時期には、こり固まった筋肉を温熱作用でほぐし、早期回復を目指すことも可能です。

すべり症は、根本原因にアプローチしなければ痛みが再発してしまいます。
あい鍼灸・接骨院 泉中央院では根本からしっかりと改善を目指すための施術を行っていきます。

●深部のこりの解消

鍼灸や超音波施術を中心に、身体深部でこり固まっている箇所にアプローチします。

●浅部の筋肉の調整

手技を中心に身体の表層近くの筋肉のバランスを整えていきます。

●日常生活での負担軽減

仕事や家事で腰を動かす動作が多い場合にはコルセットなどで固定療法などを行い、腰部への負担軽減を図ります。

すべり症は加齢のせいだから仕方がないと諦めている方もいるかもしれません。
しかし、日頃から予防を心がけることですべり症を防ぐことができます。

●ストレッチをする

お尻まわりの筋肉が硬くなると、腰への負担が大きくなってすべり症の発症リスクが高まります。
日頃からお尻まわりをしっかりとストレッチして柔軟性を維持しましょう。
仰向けに寝て両膝を抱えるようにして、膝を前に引くようにするとお尻から腰を簡単にストレッチできます。

●筋肉を鍛える

筋力が低下すると腰にかかる負担が大きくなり、すべり症を発症しやすくなります。
ウォーキングやジョギングなどの適度な運動やインナーマッスルを鍛える体幹トレーニングで筋肉を鍛えましょう。

●ウォーミングアップとクールダウン

運動の前にはウォーミングアップ、運動後にはクールダウンをすることは非常に大切です。
ウォーミングアップで筋肉をほぐせば腰への負担を軽減できます。
また、クールダウンには筋肉の疲労を回復させる役割があります。